はじめに

特定技能外国人から「入管に申請していますが、家族の事情で一時帰国したいです」と相談されることがあります。
航空券をすでに購入している場合や、帰国中に在留期限を迎える場合もあるでしょう。

入管申請中であっても再入国許可またはみなし再入国許可を利用して出国すること自体は可能です。
しかし、「出国できる」ということと「予定どおり日本へ戻り、許可を受けられる」ということは同じではありません。

特に注意したいのが帰国中に在留期限を迎える場合です。
出入国在留管理庁は申請後に出国する場合について、在留期限から2か月を経過する日までに再入国し、許可等を受ける必要があると案内しています。

この記事では入管申請中の一時帰国について、出国前、海外滞在中、再入国後の順に確認事項を整理します。
個別の渡航可否は、旅券、在留カード、申請方法、在留期限、再入国予定日などによって変わるため、実際の出国前には最新の公式案内も確認してください。

入管申請中でも一時帰国することはできる

出入国在留管理庁のQ&Aでは在留期間更新許可申請中または在留資格変更許可申請中であっても、再入国許可による出国またはみなし再入国許可による出国は可能とされています。

入管申請をした後だからといって、日本から出国できなくなるわけではありません。

ただし、何も手続をせずに出国すると単純出国として扱われ、現在の在留資格や申請中の手続に影響するおそれがあります。
日本へ戻る予定がある場合は出国時に再入国する意思を明確に示す必要があります。

みなし再入国許可を利用する一般的な中長期在留者は有効な旅券と在留カードを持ち、出国時の再入国出国記録で「一時的な出国であり、再入国する予定」の欄へチェックします。
通常の再入国許可を取得している場合はその許可の有効期限も確認します。

みなし再入国の落とし穴

みなし再入国許可は原則として、出国の日から1年以内に再入国する場合に利用できる制度です。
ただし、在留期限がそれより先に到来する場合は在留期限の方が先に問題になります。

さらに、入管申請中に現在の在留期限を迎える場合は申請中の特例期間も考えなければなりません。
オンライン申請に関する公式Q&Aでは、申請後の出国は可能としたうえで在留期限から2か月を経過する日までに再入国し、許可等を受ける必要があると説明しています。

入管申請中の一時帰国では「出国から1年以内」だけでなく、現在の在留期限にも注意が必要です。

たとえば在留期限が11月30日で、更新許可がまだ出ていない場合、12月に一時帰国する日程は慎重に組む必要があります。
帰国便を1月末ぎりぎりに設定すると、欠航、体調不良、旅券の問題などで予定どおり再入国できない可能性があります。

「2か月あるから大丈夫」と考えるのではなく、余裕を持って日本へ戻り、審査結果を受け取れるスケジュールを組むことが重要です。

出国前に申請が受付済なのを確認する

特例期間を前提にする場合は、在留期限までに申請が適法に受け付けられていることが必要です。
書類を支援機関へ渡しただけ、オンライン申請の入力途中、差戻しに対応していない状態では申請が完了していない恐れがあります。

窓口申請の場合は、在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に申請中であることが記載されます。
オンライン申請の場合は同じ記載がされないため、申請受付番号や受付完了メールなどを確認します。

航空券を予約する前に、「入管に申請が受け付けられた日」を確認するのが安全です。

出国前に確認したい資料は次のとおりです。

  • 有効な旅券
  • 在留カードの表面・裏面
  • 現在の在留期限
  • 申請の受付日と受付番号
  • 申請を窓口とオンラインのどちらで行ったか
  • 再入国予定日
  • 再入国許可を取得している場合はその有効期限

なお、出国中の本人について、新たにオンラインで申請を行うことはできない点も併せて注意して下さい。

出国中は新しい在留カードを受け取れない

申請が許可されると新しい在留カードを受け取る手続が必要になります。
しかし、申請人本人が出国中の場合は原則として在留カード等を受領できません。

申請で在留カードの郵送受領を選択していても、本人が海外にいる間に受領手続を完了できるとは限りません。
結果通知が届いた場合は、申請を行った担当者と本人の帰国予定を共有し、受領期限や必要な対応を確認します。

「許可が出たら海外にいる家族へ新しい在留カードを送ればよい」ということにはなりませんので注意してください。

在留カードは日本での在留資格や在留期間を示す公的な証明です。
受領方法、本人確認、旧カードの返納など、定められた手続に沿う必要があります。

在留期限をまたぐ帰国は日程に余裕を持たせる

申請中の一時帰国では、予定外の出来事が起きても特例期間内に戻れる日程にする必要があります。

起こり得ること想定される影響出国前に考えたい対応
帰国便の欠航・大幅な遅延特例期間内に再入国できない期限直前の便を避ける
本人の病気・けが搭乗日を変更する可能性予備日を確保し、連絡先を共有する
旅券の紛失・更新出国時と異なる旅券になる在外公館と日本側担当者への連絡方法を確認する
在留カードの紛失再入国時の資料が不足する紛失時の連絡先とカード情報の控えを用意する
審査結果の通知受領期限への対応が必要本人と申請担当者がすぐ連絡できるようにする
追加資料の依頼審査が止まる、対応が遅れる会社書類・本人書類の担当を決めておく

再入国予定日は特例期間の最終日ではなく、トラブルが起きても帰国できるだけの余裕を残して設定します。

本人だけで日程を決めず、受入れ企業、登録支援機関、申請を担当した者の間で、出国日と再入国予定日を共有しておくと対応しやすくなります。

受入企業と登録支援機関が確認したいこと


一時帰国は外国人本人の私生活に関わるため、会社が必要以上に制限するべきものではありません。
一方、雇用管理や支援の継続に必要な範囲で、休暇期間、連絡方法、在留期限、再出勤日を確認する必要があります。

受入れ企業と登録支援機関では、次の事項を整理しておきます。

  • 一時帰国の期間と理由
  • 年次有給休暇・会社の休暇制度の取扱い
  • 日本の住居を帰国中も維持するか
  • 海外滞在中の連絡手段
  • 申請の追加資料に誰が対応するか
  • 審査結果が出た場合の連絡方法
  • 日本への再入国日と再出勤予定日

一時帰国が長期化し、特定技能の活動を行わない状態が続く場合は在留資格取消しの対象になり得る可能性がありますので注意が必要です。

出国前チェックリスト

最後に本人と受入れ企業で確認したい項目をまとめます。

確認項目確認内容
在留申請在留期限前に受付済みか
申請方法窓口申請かオンライン申請か
在留期限在留カード記載の日付
特例期間在留期限から2か月後の日付
旅券帰国・再入国時まで有効か
在留カード本人が携帯しているか
再入国手続みなし再入国許可または再入国許可の確認
帰国日程期限直前になっていないか
審査結果誰が通知を確認し、本人へ連絡するか
追加資料本人不在中の提出担当者が決まっているか
再出勤日許可・再入国の日程と照らし合わせて問題ないか

まとめ

入管への申請中であっても、再入国許可またはみなし再入国許可を利用して一時帰国することは可能です。
ただし、諸々の確認を怠ると、在留資格を失うなどのトラブルにつながる恐れがあります。

帰国中に現在の在留期限を迎える場合は申請中の特例期間を確認します。
公式Q&Aでは在留期限から2か月を経過する日までに再入国し、許可等を受ける必要があると案内されています。

入管申請中の一時帰国で最も重要なのは、在留期限、特例期間、再入国予定日、審査結果の受領などの情報を会社と外国人が共有することです。

出国前に申請が受け付けられていること、有効な旅券と在留カードがあること、再入国の意思を示す手続を行うことを確認します。
受入れ企業と登録支援機関も本人の渡航日程と連絡方法を共有し、追加資料や許可通知へ対応できる状態にしておきましょう。

参考情報

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執筆・監修:ビッグアロー行政書士事務所