はじめに

介護施設や製造業、建設業などの中小企業からよく聞かれるのが「今から技能実習生を受け入れても間に合うのか」という疑問です。
技能実習制度は2027年4月1日に新しい「育成就労制度」が始まるのに合わせて新規入国の受付を終えます。

この記事では外国人技能実習機構(以下「機構」)、出入国在留管理庁(以下「入管庁」)、厚生労働省の公式資料をもとに、「最後の技能実習」で受け入れる場合の期限と注意点を整理します。
筆者は監理団体の職員として、現場実務に携わってきました。
ただし、個別の受入れ可否は職種や企業の状況で変わるため、ここでは「公式資料に書かれていること」と「筆者の実務上の目安」を分けて説明します。

技能実習の新規受入れは「2027年2月までの計画認定申請」が目安

新しく技能実習生を受け入れるには、まず「第1号技能実習計画」の認定を機構から受ける必要があります。
技能実習計画とは「誰に、どの仕事を、どのように教えるか」を実習生ごとにまとめた計画書です。

機構は計画認定の案内ページで「1号技能実習計画の認定申請は、令和9年2月までに行うようお願いします」と案内しています。
機構のリーフレットでは申請自体は令和9年3月31日まで可能としつつ、3月以降に申請すると審査や入国手続に時間がかかり、6月30日までに上陸許可を受けられない可能性があると注意を促しています。

また、厚生労働省の資料「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」には、「施行日以降に技能実習計画の認定申請は行えません」と明記されています。2027年4月1日を過ぎると、新しい技能実習の受入れは始められません。

日付公式資料に書かれていること
2027年2月まで第1号技能実習計画の認定申請を行うよう機構が案内
2027年3月31日第1号技能実習計画の認定申請ができる最終日(施行日の前日)
2027年4月1日育成就労制度の施行。以後、技能実習計画の認定申請はできない
2027年6月30日技能実習生としての入国(上陸許可)の原則的な期限

「3月末まで申請できる」という文面だけを見ると余裕がありそうに感じます。
しかし、実際には計画認定の後に在留資格認定証明書(外国から呼ぶために入管が出す証明書)の申請や、現地でのビザ手続が続きます。企業は「2月」を締切と考えて準備するのが安全です。

入国は2027年6月30日までに間に合わせる

申請しただけでは十分ではなく、技能実習生が実際に日本に入国できる期限も決まっています。

厚生労働省の経過措置の資料では、施行日前に申請し、施行日以後に認定される計画について、実習開始日が2027年6月30日以前であることが必要で、原則として同日までに入国しなければならないとされています。
入管庁の「育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)」でも、施行日前に計画認定を申請していれば、施行日から3か月以内に開始する計画に限り、施行後に技能実習生として入国できることがあると説明されています。

もう一つの注意点が在留資格認定証明書の交付日です。
同じ資料では施行日前に申請した在留資格認定証明書が施行日後に交付された場合、交付日から3か月以内に入国する必要があるとされています。
出入国在留管理庁のQ&Aでは2027年6月30日を過ぎると技能実習生として上陸許可を受けられないと説明されています。

したがって、証明書の有効期間だけを見て日程を判断せず、6月30日までに入国できる見通しを立てておくことが重要です。
交付や入国手続が遅れる可能性がある場合は早めに監理団体を通じて確認しましょう。

2027年に始まる技能実習は3号に進めない

これから受け入れる技能実習生は1号・2号と進むことはできても3号へは進めないと考えておく必要があります。

経過措置では施行日以降も1号を修了した人は2号に進めます。
一方で、3号に進めるのは施行日(2027年4月1日)の時点で2号を一年以上行っている人に限られます。

つまり、これから技能実習で受け入れた人が技能実習として働けるのは、1号と2号を合わせて最長3年程度です。
その後も同じ会社で働いてもらうには特定技能1号への変更が主な道になります。
ただし、受け入れる仕事が特定技能の対象分野と対応しているか、試験の免除が受けられるかは、職種ごとに確認が必要です。

技能実習と育成就労は何が違う?今の時点で比べる

どちらを選ぶかは、「いつ人が必要か」と「何年働いてもらいたいか」の2点で大きく変わります。以下は、入管庁・厚生労働省・機構の資料で確認できた範囲の比較です。

項目最後の技能実習(2027年に開始)最初の育成就労
制度の目的技能移転による国際貢献人手不足分野の人材の育成・確保
計画の申請技能実習計画。2027年2月までが目安育成就労計画。2026年9月1日から施行日前申請が可能
働ける期間1号・2号で最長3年程度(3号は不可)3年以内(育成就労計画に記載)
その後条件を満たせば特定技能1号へ特定技能1号へ。不合格なら再受験のため最長1年の在留継続あり
本人の意向による転籍原則として想定されていない1年経過・技能試験・日本語A2.1相当などの要件で可能
入国前の日本語介護など職種ごとの要件あり就労開始までにA1相当以上の試験合格または相当の講習
仲介・監理する団体監理団体監理支援機関(新たな許可が必要)

技能実習生が在留資格「育成就労」に切り替えることはできません。
今技能実習で受け入れた人は、最後まで技能実習制度のルールで実習を続けます。
「とりあえず技能実習で呼んで、施行後に育成就労に変えればよい」という考え方はできないことに注意してください。

なお、技能実習の日本語要件は職種によって異なります(介護職種には独自の要件があります)。
育成就労も分野ごとに上乗せの基準が定められているため、自社の分野の運用要領もあわせて確認が必要です。

どちらを選ぶ?企業の状況別の考え方

決め手になるのは、人が必要な時期、受け入れたい仕事の種類、そして契約している監理団体の対応状況です。
以下は公式の判断基準ではなく、筆者が整理した考え方の例です。

企業の状況考え方の例
2027年の春〜初夏に人が必要で、監理団体と候補者の選考をすでに進めている技能実習での受入れが現実的。2月までの計画認定申請を目標に日程を組む
まだ候補者も送出機関も決まっていない2月までに間に合うかを監理団体とすぐに確認。難しければ育成就労での受入れを準備する
3年を超えて同じ人に長く働いてもらいたいどちらでも特定技能1号への移行が前提になる。自社の仕事が特定技能の対象に入るかを先に確認
受け入れたい仕事が育成就労の対象分野(17分野)に入るか分からない分野別の運用要領で業務の範囲を確認。対象外なら育成就労では採用できない
契約中の監理団体が育成就労に対応するか分からない監理支援機関の許可を申請しているかを直接確認する

特に最後の点は見落とされがちです。
入管庁の資料では、技能実習の監理団体も、育成就労で監理支援事業を行うには監理支援機関の許可を受ける必要があるとされています。
今の監理団体に任せておけば自動的に育成就労にも対応できるわけではないので早めに確認しておきましょう。

2027年2月から逆算した企業の確認チェックリスト

技能実習で受け入れると決めた場合は、2月の計画認定申請から逆算して、今から何をするかを決めておきます。
下の時期は公式の期限ではなく、筆者の実務経験による目安です。実際の日程は監理団体や送出国によって変わります。

時期の目安企業がすること
2026年10月〜11月技能実習か育成就労かの方針を決める。監理団体に2月までに間に合うか確認
2026年11月〜12月送出機関と候補者の選考・面接。寮や給与など待遇の準備
2026年12月〜2027年1月技能実習計画の作成。企業側の必要書類を監理団体へ提出
2027年2月まで第1号技能実習計画の認定申請
認定後すぐ在留資格認定証明書の交付申請
2027年6月30日まで入国(上陸許可)と実習開始

企業が今確認しておきたい事項は次のとおりです。

  • 受け入れたい仕事が技能実習の対象職種・作業に入っているか
  • 監理団体が2月までの計画認定申請に対応できるか
  • 候補者の選考・面接の日程が組めるか
  • 3号に進めない(技能実習としては最長3年程度)ことを前提に、その後の特定技能1号への道を確認したか
  • 監理団体が監理支援機関の許可を申請しているか(育成就労も視野に入れる場合)

よくある質問

Q1. 2027年4月以降に技能実習計画の認定申請はできますか?

できません。厚生労働省の資料に「施行日以降に技能実習計画の認定申請は行えません」と明記されています。
ただし、すでに実習中の計画を変更する「変更認定」は施行日以降も受けられるとされています。

Q2. 今いる技能実習生は施行日に実習を終えなければならないのですか?

終える必要はありません。
施行日時点で実習中の人は施行日以降も「技能実習」の在留資格のまま実習を続けられます。
在留期間の更新や1号から2号への変更も受けられます。

Q3. 実習生がケガや病気で実習を中断した場合はどうなりますか?

困難時届出書を提出し、変更認定を受ければ実習を再開できるとされています。
ただし、中断中に「技能実習」以外の在留資格に変更すると「技能実習」には戻れません。

Q4. 育成就労の申請はもうできますか?

育成就労計画の認定は2026年9月1日から施行日前申請が始まっています。
申請先は申請者の所在地を管轄する機構の地方事務所・支所で本部では受け付けていません。

まとめ

技能実習で新しく外国人を受け入れられるのは育成就労制度が始まる2027年4月1日の前に申請した案件に限られます。
第1号技能実習計画の認定申請は2027年2月まで、入国は原則6月30日までが目安です。
また、2027年に始まる技能実習は3号に進めず、技能実習生から育成就労への切り替えもできません。

「最後の技能実習」と「最初の育成就労」のどちらが合うかは、人が必要な時期、仕事の種類、監理団体の対応状況で変わります。迷っている企業は、まず監理団体に「2月までに申請できるか」と「監理支援機関の許可を申請しているか」の2点を確認してください。個別の職種や日程の扱いは、機構・入管庁の最新の案内をあわせて確認することが大切です。

参考情報

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執筆・監修:ビッグアロー行政書士事務所