はじめに
特定技能1号の外国人を雇う会社は仕事や日常生活の支援(事前ガイダンス、生活オリエンテーション、定期的な面談など)を行う義務があります。
この支援は登録支援機関に全部を委託することも、一定の基準を満たして会社自身で行うこと(自社支援)もできます。
この支援の体制について出入国在留管理庁(入管庁)は2027年4月1日から施行される要件の改正を公表しています。
支援責任者・支援担当者を「事業所ごと」に「常勤」で選ぶこと、支援担当者1人あたりの外国人の数に上限が設けられることなどが中心です。
たとえばA市とB市の両方に介護施設を持ち、本部の担当者が両施設の特定技能外国人をまとめて支援している法人は「事業所ごと」という言葉が自社にどう当てはまるかを確認しておく必要があります。
市をまたいで事業所がある会社は協力確認書など自治体ごとの手続に加えて、この点も整理しておくと安心です。
この記事では入管庁の公表資料をもとに、自社支援の会社と登録支援機関に委託している会社がそれぞれ確認しておきたいことを整理します。
2027年4月から変わるのは「誰が・何人で支援するか」
今回の改正は支援の「中身」よりも、支援を担う「人」と「人数」のルールを変えるものです。
入管庁の資料「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の主な改正点」では次の5つが示されています。
| 番号 | 改正の内容 | 自社支援の会社 | 登録支援機関 |
|---|---|---|---|
| ① | 支援責任者・支援担当者を、事業所(登録支援機関は事務所)ごとに常勤の役員または職員から1人ずつ以上選任する(支援責任者が支援担当者を兼務することは可) | 対象 | 対象 |
| ② | 支援業務に従事できるのは、支援責任者・支援担当者に限られる | 対象 | 対象 |
| ③ | 支援責任者は入管法や労働関係法令などを含む養成講習を受講する | 対象 | 対象 |
| ④ | 支援担当者1人あたり受託できる受入れ機関は10機関未満 | ― | 対象 |
| ⑤ | 支援担当者1人あたり支援できる1号特定技能外国人は50人未満 | 対象 | 対象 |
なお、今の制度でも、自社支援をするには外国人の受入れ実績など一定の基準を満たす必要があります。
支援責任者と支援担当者は「事業所ごとに常勤で1人以上」必要になる
自社支援の会社は支援を行う事業所ごとに、常勤の役員または職員の中から支援責任者と支援担当者を1人ずつ以上選ぶ必要があります。
支援責任者が支援担当者を兼務できるため、人数としては「事業所ごとに常勤の職員が最低1人」という解釈もできます。
常勤でない職員(パート・非常勤など)を支援責任者・支援担当者にしている会社は、2027年4月までに選任し直す必要がないか確認してください。
本部でまとめて支援している会社は今後の運用要領の改訂や入管庁の案内を確認し、不明な場合は管轄の地方出入国在留管理局に確認するのが確実です。
支援担当者1人で支援できるのは「50人未満」
支援担当者の数は支援している1号特定技能外国人の数を50で割った数を上回る必要があります。
つまり、支援担当者1人で支援できるのは50人「未満」で、50人ちょうどでは2人必要になります。
| 支援担当者の人数(支援責任者の兼務を含む) | 支援できる1号特定技能外国人の数 |
|---|---|
| 1人 | 49人まで |
| 2人 | 99人まで |
| 3人 | 149人まで |
入管庁の資料でも自社支援の例として「1人なら50人未満、3人なら150人未満」と図示されています。
この人数基準だけを見ると、外国人が数人〜十数人の中小企業や介護施設では問題になることは少ないと考えられます。
ただし、前の章の「事業所ごとの選任」は人数に関係なくかかるため、外国人が少なくても事業所が多い会社ほど影響が大きくなります。
支援業務に関われる人
改正後は支援業務に従事できるのは支援責任者と支援担当者に限られます。
たとえば、定期的な面談を現場の主任に任せている、生活オリエンテーションを別の職員が担当している、といった分担をしている会社はその人を支援担当者として選任するか、担当の分け方を見直す必要があります。
ここでいう「支援業務」は支援計画に基づいて行う支援を指すと考えられます。
一方で職場での日常的な声かけや業務上の指導まで含むかは公表資料には書かれていません。
過度に広くも狭くも解釈せず、運用要領の改訂を待って確認してください。
通訳スタッフや外部の通訳者の関わり方についても、公表資料には記載がありません。
母国語での支援を通訳に頼っている会社は、この点も確認事項に加えておくとよいでしょう。
養成講習は義務化される
支援責任者は入管法や労働関係法令などを学ぶ「養成講習」の受講が義務になります。
ただし入管庁は、2027年4月1日以降も当分の間は講習を修了していなくても差し支えないとしています。
経過措置がいつ終わるかは後日案内される予定です。
入管庁の「特定技能制度における養成講習について」で示されている点を整理すると次のとおりです。
- 対象:受入れ機関または登録支援機関が選任する支援責任者。支援担当者は義務ではなく、修了が推奨されています。
- 実施:法務大臣が告示する「養成講習機関」が行い、決まり次第入管庁のホームページで公表されます。受講は各機関に直接申し込みます。
- 頻度:直近の修了証明書の交付日から3年以内に再受講が必要です。
受講費用や講習の日程は確認日時点では公表されていません。
登録支援機関に委託している会社が確認すること
支援を登録支援機関に全部委託している会社は、自社で支援責任者を置く必要はありませんが、委託先が2027年4月以降の基準を満たせるかは確認しておきたい点です。
登録支援機関は支援担当者1人あたり「受託10機関未満」「外国人50人未満」の両方を満たす必要があります。
登録支援機関には経過措置もあります。
- 施行日前に登録を申請した場合は、施行日前の要件で登録の可否が判断されます。ただし、その後の登録更新では新しい要件を満たす必要があります。
- すでに登録を受けている登録支援機関のうち、登録期間が2027年7月31日までに満了するものは、施行日前に更新申請をした場合に限り、施行日前の要件で更新を受けられます。
登録支援機関に委託中の会社は、委託先に次のような点を尋ねておくと急な委託先の変更を避けやすくなります。
- 支援担当者は何人で、何社・何人の外国人を支援しているか
- 2027年4月以降の「10機関未満・50人未満」を満たす予定か
- 登録の満了日はいつか(経過措置の対象か)
- 支援責任者は養成講習を受講するか
複数の事業所がある場合はどう考える?
複数の事業所を持つ会社では「どの事業所で、誰が支援しているか」を先に整理しておくと、改正後に足りない人員を把握しやすくなります。
以下は葛飾区の特別養護老人ホームと松戸市のデイサービスを運営する法人を想定した説明用の例です(実在の事例ではありません)。
自社支援を続けるか、登録支援機関に委託するかを決める前に「事業所の数」「各事業所の常勤職員」「支援業務を実際に行っている人」の3点を一覧にしておくことが、最初の一歩です。
なお、支援責任者・支援担当者を変えたときに必要な届出や、支援計画の変更の扱いについては今回の公表資料には記載がありません。
現在の運用要領と今後公表される改訂版をあわせて確認してください。
まとめ
2027年4月1日から特定技能1号の支援体制の要件が変わります。
自社支援の会社に関係するのは、事業所ごとの常勤の支援責任者・支援担当者の選任、支援業務を担う人の限定、養成講習、支援担当1人あたり50人未満という基準です。
外国人の人数が少ない会社でも、事業所が複数ある場合や、非常勤の職員・選任していない職員が支援を担っている場合は体制の見直しが必要になる可能性があります。
養成講習は当分の間修了していなくてもよいとされていますが、講習機関や日程の公表はこれからです。
登録支援機関に委託している会社は、委託先が新しい人数基準に対応できるか、登録の満了日はいつかを確認しておきましょう。
「事業所ごと」の範囲など、公表資料だけでは判断できない点も残っているため、今後の運用要領の改訂に注意してください。
※本記事の情報は2026年10月27日に出入国在留管理庁の公表資料で確認した内容です。
参考情報
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について(令和9年4月1日施行)」(特定技能制度ページの2026年7月28日の新着情報で公開)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の主な改正点(令和9年4月1日から施行)」(PDF)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度における養成講習について」
- 出入国在留管理庁「特定技能制度における養成講習機関選定に係る要領(令和8年9月策定)」(PDF)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」(新着情報・運用要領)
- 出入国在留管理庁「受入れ機関の方」
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執筆・監修:ビッグアロー行政書士事務所




