はじめに
「外国人社員が更新後の在留カードを持ってきたが、前のカードにあった『在留期間(3年)』や『許可年月日』が見当たらない。」
初めて見る在留カードに驚いた方もいるかもしれません。
2026年6月14日から在留カードは新しい様式に切り替わりました。
あわせて、マイナンバーカードの機能を持たせた「特定在留カード」の交付も始まっています。
どちらのカードも一部の項目が券面(カードの表面)から消え、ICチップの中だけに記録されるようになっています。
この記事では出入国在留管理庁の公式資料をもとに、外国人を雇う会社が新しいカードで何を確認すればよいか、外国人本人が更新のときに特定在留カードを選ぶ前に知っておきたいことを整理します。
新しい在留カードで消えた情報
要点は「いつまでいられるか(在留期間の満了日)」は引き続き券面で確認できる一方、「何年の許可か」「いつ、どの手続で許可されたか」は券面では分からなくなったということです。
出入国在留管理庁のQ&Aでは、特定在留カードの券面記載事項を次のように整理しています。
特定在留カードではない「新様式の在留カード」も、裏面にマイナンバーが記載されない点以外は同じ券面とされています。
| 区分 | 項目 |
|---|---|
| 券面に記載される | 氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間の満了日、カード番号、有効期間の満了日、就労制限の有無、資格外活動許可の有無など |
| ICチップにだけ記録される | 在留期間(「3年」など)、許可の種類(更新・変更など)、許可年月日、交付年月日 |
| 特定在留カードだけ | 裏面にマイナンバー(個人番号)が記載される |
つまり、「その人が働けるか」を判断するための基本情報(在留資格、在留期間の満了日、就労制限の有無、資格外活動許可の有無)は、これまでどおり券面で確認できます。券面に「在留期間」や「許可年月日」がないことだけを理由に、偽造や不備を疑う必要はありません。
また、6月13日以前に交付された旧様式の在留カードも引き続き有効で、切り替えの必要はありません。
そのため当面は、同じ職場に旧様式・新様式・特定在留カードの3種類が混ざることになります。
特定在留カードの取得は任意
特定在留カードは、在留カードにマイナンバーカードの機能を付けたカードです。
取得は義務ではなく、在留カードとマイナンバーカードを2枚持ち続けることもできます。
対象は住民基本台帳に記録されている中長期在留者(日本に3か月を超えて住む在留カードを持つ人)です。
特定在留カードも在留カードであるため常に携帯する義務があります。
| 比べる点 | 新様式の在留カード | 特定在留カード |
|---|---|---|
| マイナンバーカードの機能 | なし(必要なら別に持つ) | あり |
| 裏面のマイナンバー | 記載なし | 記載あり |
| 申請できる場所 | ― | 入管(在留手続と同時)、市区町村(転入届など住居地の届出と同時) |
| 在留申請オンラインシステム | 更新・変更に利用可 | 当面、特定在留カードの交付申請は受け付けない |
| 交付までの時間 | 通常どおり | 通常の在留カードより約10日長い(最短でも2週間程度、即日交付なし) |
| 手数料 | ― | 2026年6月14日以降の初回などは原則不要。必要な場合は入管分1,900円+J-LIS分600円(電子証明書を発行する場合は800円) |
手数料は永住許可や住居地の変更届出など、一緒に行う手続と申請時期によって異なるとされています。
具体的な金額は入管庁の手数料表で確認してください。
会社の確認は「券面+最新版の読取アプリ」で行う
会社がやることは券面で就労の可否を確認し、券面にない項目とカードの真偽は「在留カード等読取アプリケーション」で確認するという流れです。
読取アプリは入管庁が無償で提供しているアプリです。
カードのICチップを読み取り、券面と同じ内容が記録されているかを確認できます。
2026年6月14日から新様式・特定在留カードを読めるようになりましたが、最初は券面から消えた「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」を表示できませんでした。この3項目は、2026年8月19日のバージョンから表示できるようになっています。
種類を問わず新しい在留カードで「在留期間」や「許可年月日」を確認したい場合は、読取アプリを最新版に更新してから使う必要があります。
なお「交付年月日」は改修後もアプリでは確認できないとされています。
外国人を雇い入れたとき、会社はハローワークへの外国人雇用状況の届出があり、その際に在留カードの提示を求めて届け出る事項を確認することが法令で義務づけられていると、労働局・ハローワークのリーフレットで案内されています。
以下は入管庁と労働局の案内をもとにした確認の順番です。
- 本人の同意を得て、在留カードの原本を提示してもらう(コピーや写真ではなく原本)
- 券面で、在留資格・在留期間の満了日・就労制限の有無・資格外活動許可の有無を確認する
- 「特定技能」「特定活動」などで「指定書により指定された就労活動のみ可」などと記載がある場合は、パスポートに添付された指定書も併せて確認する
- 読取アプリが最新バージョンか確かめてから読み取る
- アプリの表示と券面が一致しているか、在留期間・許可の種類・許可年月日を含めて確認する
- 必要に応じて入管庁の「在留カード等番号失効情報照会」でカードが失効していないかを確認する
- 読み取れない、内容が券面と違う場合は、労働局・ハローワークまたは入管に相談する
パソコン版の読取アプリには、非接触型ICカードリーダライタ(拡張APDU対応機種)が必要です。
スマートフォン版(iOS・Android)もありますが、iPadには対応していません。
特定在留カードについては、デジタル庁の「対面確認アプリ」でも在留期間等を読み取れると入管庁は案内しています(確認日時点でiOS版のみ)。
特定在留カードの扱い方
特定在留カードは裏面にマイナンバーが記載されます。
在留カードの表と裏をこれまでどおり一緒にコピーすると、社員名簿や在留期限の管理ファイルにマイナンバーも一緒に保管されることになります。
マイナンバーは法律で利用できる場面や保管の仕方が制限されている情報です。
税や社会保険の手続のために会社が別途収集しているものと、在留カードの確認のために取る写しとをどう分けて管理するかを社内で決めておくことをおすすめします。
たとえば、在留カード確認用の写しではマイナンバー部分を見えないようにするといった運用が考えられます。
これは入管庁の資料に明記されたルールではなく、実務上の注意点です。
また、登録支援機関や監理団体など、在留カードの写しを受け取る外部の機関がある場合も、同じように「裏面にマイナンバーがあるカードが届くことがある」という前提でやり取りの方法を話し合っておくと安心です。
特定在留カードを選ぶなら知っておきたい4つのこと
特定在留カードは「一度取れば終わり」ではなく、更新のたびに申請方法や受取までの日数に影響があります。
本人だけでなく、更新申請を手伝う会社や支援機関も知っておきたい点です。
- オンライン申請では申請できない。
入管庁は、当面、在留申請オンラインシステムを利用する場合は特定在留カードの交付申請を受け付けないとしています。会社がオンラインで更新を申請している場合、本人が特定在留カードを希望するなら窓口での手続が必要です。 - 受け取りまでの日数が長い。
通常の在留カードより交付まで約10日長くかかり、即日交付はできません。 - 受け取る前に電子証明書が失効する。
今持っているマイナンバーカードの電子証明書は、特定在留カードを受け取る約1週間前に失効し、マイナ保険証などの利用に影響が出る可能性があるとされています。通院予定がある方は受取日との兼ね合いを考えておくと安心です。 - 次の更新でも改めて申請が必要。
特定在留カードを持ち続けるには、在留期間更新などカードの交付を伴う手続のたびに交付申請が必要です。
申請しなかった場合は通常の在留カードが交付されます。
さらに、申請しても必ず特定在留カードが交付されるわけではなく、申請後に氏名が変わった場合や、更新・変更と一緒に申請して審査が終わった時点で特例期間の残りが1か月未満の場合などには通常の在留カードが交付されることがあるとしています。
更新申請中は「マイナンバー機能の期限」に注意する
更新申請の結果を待つ間もマイナンバーカード(または特定在留カードのマイナンバー機能)の有効期間は本来の在留期間の満了日までです。
ここでいう「特例期間」とは、在留期限までに更新などを申請した人が結果が出るまで(最長で元の期限から2か月)引き続き日本にいられる期間のことです。
特例期間に入っても、マイナンバー機能の期限は自動では延びません。本来の在留期限までに住んでいる市区町村で有効期間の変更手続が必要です。
入管庁はこの手続をしないと利用者証明用電子証明書が失効し、マイナ保険証として使えなくなる可能性があると案内しています。
会社側としては更新申請中の社員に「在留の手続」と「マイナンバーカードの手続」が別であることを伝えておくと通院時のトラブルを防ぎやすくなります。
よくある質問
Q1. 社員が旧様式の在留カードを使っています。新様式に切り替えてもらう必要はありますか?
必要ありません。旧様式の在留カードも引き続き有効です。次の更新などでカードが交付されるときに、新様式(または本人が希望すれば特定在留カード)に切り替わります。
Q2. 会社が社員に特定在留カードの取得を求めてもよいですか?
特定在留カードの取得は本人の任意です。会社の手続の都合で取得を強く求めるのではなく、本人がメリットと注意点を理解して選べるように情報を伝えることが大切です。
Q3. 特定在留カードにすると何が便利になりますか?
入管庁は特定在留カードを持った状態で入管で在留手続をすればマイナンバーカードの情報も最新になり、市区町村で別の手続をする必要がなくなり、持ち歩くカードが1枚になる点が挙げられます。
Q4. 特定在留カードをなくしたらどうなりますか?
マイナンバー機能の一時利用停止をし、警察に届け出たうえで、入管で再交付を申請します。
入管庁によるとまず通常の在留カードが交付され、その後必要に応じて特定在留カードを申請し直す流れです。
Q5. 行政書士に更新を依頼している場合、特定在留カードの申請も任せられますか?
入管庁のQ&Aには、申請取次についてこの点を直接説明した項目はありません。
申請書では代理人による申請は、本人が16歳未満または病気などやむを得ない理由で出頭できない場合に限るとされています。
取次の可否や受取方法は事前に申請先の入管や依頼先に確認してください。
まとめ
2026年6月14日から交付されている新しい在留カードは、「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」が券面から消え、ICチップにだけ記録されています。
一方で在留資格、在留期間の満了日、就労制限の有無、資格外活動許可の有無はこれまでどおり券面で確認できます。
会社は券面で働けるかどうかを確認し、券面にない項目とカードの真偽は、2026年8月19日以降のバージョンの在留カード等読取アプリで確認します。
特定在留カードは裏面にマイナンバーがあるため、写しの取り方も社内で決めておくと安心です。
外国人本人が更新のときに特定在留カードを選ぶ場合はオンライン申請では申請できないこと、受取までの日数が長いこと、受取前に電子証明書が失効することを前もって知っておきましょう。
また、更新申請中はマイナンバー機能の期限は本来の在留期限までなので、住んでいる市区町村での期限変更を忘れないことが大切です。
制度は運用開始から日が浅く、読取アプリのように途中で改修されるものもあります。
実際に手続をする前に入管庁や市区町村の最新の案内を確認してください。
参考情報
- 出入国在留管理庁「特定在留カード」(概要・手数料・留意点・Q&A)
- 出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション サポートページ」(2026年8月19日バージョンの改修内容)
- 出入国在留管理庁「特定在留カード リーフレット(日英併記)」
- 出入国在留管理庁「特定在留カード等の概要資料(PDF)」
- 都道府県労働局・ハローワーク「在留カード等読取アプリケーションを積極的にご活用ください!」
- 参考(他自治体の案内例):千葉市「特定在留カード等」
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執筆・監修:ビッグアロー行政書士事務所




