はじめに

2026年10月1日、出入国在留管理庁は「永住許可に関するガイドライン」を改定しました。
日本人・永住者・特別永住者と結婚している外国人の方にとって、特に確認しておきたいのが永住許可に必要な婚姻期間と日本での在留期間です。
これまで配偶者の特例では、原則として「実体を伴った婚姻生活が3年以上続いていること」と「引き続き1年以上日本に在留していること」が求められていました。2027年4月1日以降の申請では、これが「婚姻生活5年以上・日本に3年以上在留」へと変更されます。

そのため、現在の基準を満たしている方や、2027年3月末までに条件を満たす見込みの方はいつ申請するかを早めに検討することが大切です。
一方で、2026年10月1日から永住の手数料は1万円から20万円に引き上げられ、収入に関するガイドラインの一部は2026年4月1日以降の申請に先行して適用されています。

この記事では日本人・永住者・特別永住者の配偶者の方に向けて、今回の変更点と申請前に確認しておきたい事項を整理します。

※この記事は2026年10月16日時点で公表されている資料をもとに作成しています。
個別の許可を保証するものではありません。申請前には出入国在留管理庁の最新情報をご確認ください。

配偶者の特例の改定

永住許可には原則として引き続き10年以上日本に在留していることなどの要件があります。
ただし、日本人・永住者・特別永住者の配偶者は、通常より短い在留期間で申請できる特例があります。

対象2027年3月31日までの申請(現行ガイドライン)2027年4月1日以降の申請(改定ガイドライン)
日本人・永住者・特別永住者の配偶者実体を伴った婚姻生活が3年以上続き、引き続き1年以上日本に在留実体を伴った婚姻生活が5年以上続き、引き続き3年以上日本に在留
その実子など1年以上日本に継続して在留3年以上日本に継続して在留

出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改訂版、令和8年10月1日改定版)

重要なのは新しい年数が適用される基準が「申請日」であることです。

2027年3月31日までに申請した場合、原則として2026年2月24日改訂版のガイドラインが適用されます。
ただし、収入に関する一部の項目は2026年10月1日改定版が先行適用されます。

一方、2027年4月1日以降に申請する場合は2026年10月1日改定版のガイドラインが適用されます。

ただし、婚姻期間と在留期間を満たせば必ず永住許可を受けられるわけではありません。
公的な義務の履行状況や、そのほかの審査項目も確認する必要があります。

あなたは間に合う?2027年3月末までに申請できるか具体例で確認

判断の分かれ目は「2027年3月31日までに、婚姻3年・在留1年を満たした状態で申請できるか」です。
主なケースを表にしました。いずれも年数の条件だけを見たもので、許可されるかどうかは他の要件とあわせた個別審査になります。

あなたの状況(2026年10月時点)年数の上での見通し
婚姻3年以上・日本に1年以上いまの特例で申請できる。申請は2027年3月31日まで
婚姻2年半、日本に2年2027年4月に入る前に婚姻3年に届くなら、届いたあと、3月末までに申請すればいまの特例の対象
婚姻1年など、3月末までに3年に届かない新しい特例(婚姻5年・在留3年)を満たすまで待つ
婚姻3年以上だが、来日して半年3月末までに在留1年に届くかを確認。届かなければ新しい特例で在留3年が必要

例えば、2026年10月時点で婚姻生活が2年半の場合、3年に達するのは通常2027年4月ごろです。
この場合、2027年3月31日までに現行の年数要件を満たすことは難しいと考えられます。

一方、婚姻生活がすでに3年以上あり、日本での在留が1年に近い方は、在留期間の条件をいつ満たすか確認する価値があります。

ここで注意したいのが「実体を伴った婚姻生活」という条件です。
婚姻届を提出しているだけでなく、夫婦としての実態があることが求められます。

別居している場合には、その理由や夫婦間の交流、生活費の負担状況などが問題になる可能性があります。
ただし、同居していない期間があるだけで、婚姻期間に算入されないと一律に判断できるわけではありません。
事情がある場合は、個別に確認することが大切です。

年数だけでは足りない「在留期間3年」と「公的な義務」

年数の条件を満たしていてもすぐに申請できるとはかぎりません。
配偶者の方が特に確認しておきたいのは次の2点です。

①在留カードの「在留期間」を確認する

永住許可のガイドラインでは現在の在留資格について、最長の在留期間をもって在留していることが求められます。

ただし、2027年3月31日までの申請では、在留期間「3年」も最長の在留期間として扱う経過措置があります。

2027年4月1日以降についても、一定の条件を満たす場合には、在留期間「3年」を最長として扱う経過措置が設けられています。
具体的には、2027年3月31日時点で在留期間「3年」を有し、4月1日以降の初回の永住許可申請であり、その3年の在留期限までに永住許可申請の処分を受ける場合です。

つまり、2027年4月以降も一律に「在留期間5年が必要になる」と決めつけることはできません。
一方で、経過措置の条件を満たさない場合には別途確認が必要です。

在留期間が1年の方は婚姻期間や日本での在留期間を満たしていても、この要件を満たさない可能性があります。
まずは在留カードに記載された在留期間を確認しましょう。

② 税金・年金・健康保険を期限どおり納めているか

永住申請では税金や公的年金、公的医療保険の保険料など、公的な義務を履行しているかが審査で考慮されます。

入管法第22条では、日本人・永住者・特別永住者の配偶者や子について、「素行が善良であること」と「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」の2つの要件が免除されています。

ただし、これは税金や社会保険料などの義務が免除されるという意味ではありません。
永住が日本の利益に合すると認められることなど、ほかの要件は引き続き確認されます。

また、税金や保険料は現在未納がないかだけでなく、過去に納期限までに支払っていたかも重要です。
後から納付して現在は未納がなくても、過去の納付状況が審査で考慮される場合があります。

申請を急ぐ前に、住民税、年金、健康保険料などについて、未納や納付の遅れがなかったかを確認しておきましょう。

収入の審査はすでに新しい基準が先行適用されている

2026年10月1日に改定されたガイドラインは原則として2027年4月1日以降の申請から適用されます。

ただし、収入に関する一部の項目は2026年4月1日以降の申請に先行して適用されています。

申請日適用されるガイドライン
2026年3月31日まで令和8年2月24日改訂版
2026年4月1日~2027年3月31日令和8年2月24日改訂版。ただし収入に関する部分だけ改定版を適用
2027年4月1日以降令和8年10月1日改定版

出典:出入国在留管理庁「永住許可(入管法第22条)」ページ

改定ガイドラインでは就労資格などの人について、世帯人数に応じた収入の水準が審査上考慮されます。
一方、独立生計要件が適用されない配偶者などについては、世帯が現に公共の負担となっているか、そのおそれが無いかという観点が示されています。

したがって、日本人などの配偶者については、就労資格の人と同じ収入の基準がそのまま適用されるわけではありません。

ただし、これは「配偶者であれば収入は一切審査されない」という意味ではありません。
世帯の家計状況や生活の安定性なども含めて、個別に判断されることになります。

なお、「公共の負担」が具体的にどのような状態を指すのか、個々のケースでどの程度重く評価されるのかについては、ガイドラインの文言だけで一律に判断することはできません。
家計に不安がある場合は、最新の公式資料を確認したうえで、個別の事情に応じた準備を検討しましょう。

2027年4月以降の申請では日本語能力や出国日数も考慮される

2027年4月1日以降に申請する場合は、新しい年数要件に加え、改定ガイドラインに示された日本語能力や出国日数に関する考慮要素にも注意が必要です。

①日本語能力:

改定ガイドラインでは、「日本語教育の参照枠」でB1相当以上の日本語能力があるかどうかが考慮要素として示されています。
一方、日本で初等・中等教育を通算6年以上受けた人など、一定の場合には日本語能力を考慮しない扱いも定められています。
日本人・永住者・特別永住者の配偶者であれば、配偶者であることだけを理由に、日本語能力に関する考慮から一律に除外されるわけではありません。
ただし、これを「日本語能力がB1に達していなければ必ず不許可になる」という意味に捉えるのも適切ではありません。
ガイドライン上の考慮要素であり、個別の事情や適用される例外も確認する必要があります。

②出国日数:

改定ガイドラインでは申請前10年以内に合理的な理由なく1回の出国で半年以上、または通算2年6か月以上日本を離れていた場合、原則として消極的に評価されることが示されています。
出産や親の介護など、長期間帰国していた事情がある方は、いつ、どれくらいの期間出国していたか、その理由を整理しておくとよいでしょう。

出国日数だけで許可・不許可が自動的に決まるわけではありませんが、長期の出国がある場合は申請前に経緯を確認しておくことが大切です。

急いで申請する前に確認したい6つのこと

2027年3月31日までに申請するなら、残りは約5か月半です。
急いで書類をそろえる前に次の点を確認しておくと申請するか待つかを落ち着いて決められます。

  • 婚姻日と、実体を伴った婚姻生活の期間を確認した
  • 日本での在留期間が、申請時点で1年以上になるか確認した
  • 在留カードに記載された在留期間を確認した
  • 住民税・年金・健康保険料について、未納や過去の納付遅れがないか確認した
  • 世帯の家計状況と、必要な申請費用を確認した
  • 在留期限が審査中に来る場合、在留期間更新の手続も必要になることを確認した

特に注意したいのが、永住許可の申請中であっても現在の在留期限が自動的に延長されるわけではないという点です。

審査中に在留期限が到来する場合は必要に応じて、現在の在留資格の在留期間更新許可申請を別途行う必要があります。
永住許可申請そのものには在留期間更新申請のような特例期間はありません。

また、期限に間に合わせることだけを優先し、必要な資料が不足したまま申請すると追加資料の提出を求められたり、不許可になったりする可能性があります。

現在の基準で申請できるかという点に加えて、申請に必要な準備が整っているかも確認しましょう。

よくある質問

Q1. 2027年3月に申請して結果が4月以降になったら新しい基準で審査されますか?

入管庁の案内では適用されるガイドラインは「申請した時期」で分けられています。
2027年3月31日までに申請した場合は、収入に関する部分を除き、令和8年2月24日改訂版のガイドラインが適用されます。

Q2. 9月に申請しています。手数料は20万円になりますか?

入管庁の資料では、2026年9月30日までに受け付けた申請は許可が10月1日以降になっても改定前の1万円とされています。
ただし、収入に関する新しい基準は4月1日以降に申請した審査中の案件にも適用されます。

Q3. 子ども(日本人の実子など)も影響を受けますか?

はい。実子などの特例も「1年以上の在留」から「3年以上の在留」に変わります。2027年4月1日以降の申請からの適用です。

まとめ

2026年10月1日の永住許可ガイドライン改定で、日本人・永住者・特別永住者の配偶者の特例は「婚姻3年・在留1年」から「婚姻5年・在留3年」に変わりました。

2027年3月31日までに申請する場合は、原則として従来の「婚姻生活3年以上・日本に1年以上在留」という年数要件が適用されます。
ただし、収入に関する一部の項目はすでに新しいガイドラインが先行適用されています。

また、在留期間の要件や税金・年金・健康保険料の納付状況も重要です。
2026年10月1日以降の永住許可手数料は原則20万円ですが、一定の事情がある場合には減額措置の対象となることがあります。

まずは婚姻日、日本での在留期間、在留カードの在留期間を確認するところから始めてみてください。
現在の基準で申請できる方は期限だけでなく、必要書類や納付状況も含めて準備を進めることが大切です。

制度の適用時期や審査上の考慮事項は出入国在留管理庁の公表資料で最新情報を確認しましょう。

参考情報

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執筆・監修:ビッグアロー行政書士事務所