はじめに

「家族滞在の在留カードを持つ人からアルバイトの応募があったが、パチンコ店で採用してもよいのだろうか」

これまでパチンコ店などの風俗営業が行われる場所では、資格外活動許可を受けた留学生や家族滞在の外国人であっても、原則として働くことができませんでした。
接客ではなく清掃や事務を担当する場合でも、営業所内で働くこと自体が問題になるためです。

ですが、この取扱いは2026年10月1日から一部変更されました。
出入国在留管理庁は、在留資格「家族滞在」の人に限り、地方出入国在留管理官署から個別の資格外活動許可を受けた場合、パチンコ店などの遊技場営業店舗で働けると案内しています。

ただし、従来から持っている「週28時間以内」の包括許可だけで、そのままパチンコ店勤務を始められるわけではありません。
また、この変更は留学生や、スナック・キャバレーなどを含むすべての風俗営業での就労を認めるものでもありません。

この記事では採用する店舗の立場から、個別許可と包括許可の違い、就労開始前に確認したい資料、掛け持ちがある場合の時間管理までを順番に整理します。

2026年10月1日から何が変わったのか

出入国在留管理庁の案内によると、2026年10月1日以降、在留資格が「家族滞在」の外国人は個別の資格外活動許可を受けることにより、パチンコ店などの遊技場営業店舗で資格外活動を行えるようになりました。

ここでいう遊技場営業には、風営法上の区分として、パチンコ店や麻雀店などの4号営業、ゲームセンターなどの5号営業があります。

一方、今回の変更を「風俗営業の店ならどこでも働けるようになった」と解釈するのは適切ではありません。
厚生労働省と出入国在留管理庁の案内は、対象を家族滞在の人が個別許可を受けて働く遊技場営業店舗に絞っています。

したがって次の点に注意が必要です。

  • 対象者は在留資格が「家族滞在」の人
  • 対象となるのはパチンコ店等の遊技場営業店舗
  • 地方出入国在留管理官署から個別許可を受ける必要がある
  • 許可を受ける前に働き始めることはできない
  • 留学生へ同じ取扱いが当然に適用されるわけではない
  • スナック、キャバレー、性風俗関連特殊営業などでの就労まで認める制度ではない

「家族滞在であること」「遊技場営業店舗であること」「個別許可を受けていること」の三つをそろえて確認するのが採用判断の出発点です。

包括許可だけではパチンコ店で働けない

家族滞在の外国人がアルバイトをする際、多く利用されているのが包括的な資格外活動許可です。
在留カードの裏面に「原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」などと記載されている場合がその例です。

包括許可は勤務先や仕事内容を一つずつ指定せず、一定の条件内でアルバイトを認める仕組みです。
しかし、風俗営業が行われる営業所での活動は対象から除かれています。
そのため、すでに包括許可を持っていても、その許可だけではパチンコ店で働けません。

今回の取扱いではパチンコ店等で働くための個別許可を別に取得します。
二つの違いを整理すると次のようになります。

比較項目包括許可パチンコ店等で働くための個別許可
主な考え方勤務先を特定せず、一定範囲の活動を認める特定の勤務先・活動内容を個別に審査する
勤務先の指定通常は個別に指定しない勤務先、営業所、活動内容等が許可の対象になる
パチンコ店での勤務包括許可だけでは不可許可された範囲で可能
時間の上限原則として週28時間以内他の資格外活動と合算して週28時間以内
対象者留学・家族滞在など今回の特例は家族滞在に限る
勤務先変更時許可範囲内なら勤務先を特定しない場合がある新しい勤務先が現在の許可に含まれるか再確認が必要

在留カードの裏面に包括許可の記載があることだけを確認し、「週28時間以内なら採用できる」と判断しないよう注意が必要です。

個別許可では勤務先と活動内容が確認される

個別の資格外活動許可では、雇用先の名称、所在地、事業内容、本人が実際に担当する業務、契約期間、勤務時間、報酬などを踏まえて審査されます。
申請時は、これらが分かる雇用契約書や労働条件通知書などの提出を求められることがあります。

採用企業は求人票に「店舗スタッフ」とだけ書くのではなく、実際の業務を具体的に整理しておく必要があります。
たとえば、ホールでの案内、遊技台周辺の清掃、景品カウンターでの対応、事務補助など、どこで何をする仕事なのかを説明できるようにします。

許可は応募者の在留資格、扶養を受ける活動との関係、雇用条件、勤務先の営業形態などを踏まえて個別に判断されます。
申請書を提出すれば必ず許可されるわけではありません。

また、A店について個別許可を受けた人が、同じ会社のB店や別会社の店舗でも当然に働けるとは限りません。
店舗異動や雇用主の変更を予定するときは、現在の許可内容に含まれるかを確認します。

個別許可は「パチンコ業界で自由に働ける許可」ではなく、許可された勤務先と活動内容の範囲で働くための許可と考えると分かりやすいでしょう。

採用決定から就労開始まで

厚生労働省の案内では、勤務先を決めた後に個別の資格外活動許可を申請し、許可を受けてから就労を開始する流れが示されています。

採用実務では次の順番で進めると整理しやすくなります。

  1. 応募者の在留カードと在留資格を確認する
  2. 勤務する会社・店舗・仕事内容・時間・報酬を決める
  3. 労働条件通知書や雇用契約書など活動内容が分かる資料を用意する
  4. 本人が地方出入国在留管理官署へ個別許可を申請する
  5. 許可結果と許可された活動の範囲を確認する
  6. 許可日以後に勤務を開始する
  7. 入社後も勤務時間と許可期限を管理する

採用内定を出すことと、実際にシフトへ入れることは別です。個別許可の取得を確認する前に、研修、試し勤務、清掃作業などをさせないようにします。
名称が研修であっても店舗の指揮命令を受けて業務を行い、報酬を受けるのであれば就労として扱われる可能性があります。

許可後は在留カードだけでなく、旅券に貼付された証印・シールや「資格外活動許可書」などにより許可内容を確認します。
どの資料で確認するかは申請方法や交付の形によって異なるため、本人が受け取った許可関係書類を一式確認するのが安全です。

週28時間の計算方法

家族滞在の人はパチンコ店等の個別許可に加えて、従来の包括許可や別の個別許可を持つことがあります。
しかし、許可ごとに週28時間ずつ働けるわけではありません。

出入国在留管理庁は、すべての資格外活動の就労時間を合計して、1週について28時間以内に収める必要があると案内しています。

たとえばコンビニエンスストアで週18時間働いている人をパチンコ店で週15時間採用すると、合計33時間となり、上限を超えてしまいます。
パチンコ店側のシフトだけが28時間未満でもそれだけでは足りません。

掛け持ちがある場合に確認したいこと

  • 他社での契約上の勤務時間と実際の勤務時間
  • 曜日をまたぐシフトをどの週に計上するか
  • 残業や代替出勤が発生したときの連絡方法
  • 他社の退職・新規採用によって合計時間が変わっていないか
  • 個別許可と包括許可の有効期間

本人から申告を受けるだけでなく、シフト提出時に他社分を記入してもらうなど、継続して確認できる運用を決めておくと管理しやすくなります。

なお、週28時間以内であれば必ず働けるという意味ではありません。
家族滞在は扶養を受けながら家族として在留するための資格です。
資格外活動が本来の在留活動を妨げる場合や、実質的に本人の収入だけで生活しているような状況では、在留資格との関係を別途確認する必要があります。

採用時と入社後に確認したいチェックリスト


今回の制度変更は在留カードの表面だけでは確認しにくい内容を含みます。
採用担当者、店舗責任者、シフト作成者が同じ情報を共有できるように確認結果を記録しておくことが重要です。

採用を決める前

  • 在留カードの在留資格が「家族滞在」である
  • 在留期間の満了日を確認した
  • 在留カード番号の有効性を公式の照会サービスで確認した
  • 勤務する会社名、店舗名、所在地を特定した
  • 実際の仕事内容を具体的に整理した
  • 他社でのアルバイトの有無と時間を確認した
  • 個別許可が出る前は勤務させないことを本人と店舗へ伝えた

個別許可が出た後

  • 在留カード裏面だけでなく、許可書等で許可内容を確認した
  • 許可された雇用先・店舗・活動内容と実際の配属が一致している
  • 許可期間内である
  • 他の資格外活動を含め、合計で週28時間以内となる
  • 確認した書類の写しと確認日を適切に保存した
  • シフト作成者が時間上限を把握している
  • 店舗異動、仕事内容の変更、契約更新時に再確認する運用がある

入社後に状況が変わったとき

  • 勤務先や店舗を変更する前に現在の許可範囲を確認した
  • 仕事内容や勤務時間を大きく変更する前に許可との整合を確認した
  • 在留期間更新後も資格外活動許可が有効か確認した
  • 新しい掛け持ち先が増えた場合、合計時間を見直した
  • 退職時は外国人雇用状況の届出など通常の雇用終了手続を確認した

確認すべきなのは「資格外活動許可があるか」だけではなく、「自社のこの店舗で、この仕事をする許可になっているか」です。

まとめ

2026年10月1日から在留資格「家族滞在」の外国人は、地方出入国在留管理官署から個別の資格外活動許可を受けることにより、パチンコ店などの遊技場営業店舗で働けるようになりました。

一方、従来の包括許可だけではパチンコ店で勤務することはできません。
包括許可が勤務先を原則として特定しない仕組みであるのに対し、今回の個別許可では勤務先、店舗、活動内容などが個別に確認されます。

採用する会社は、応募者が家族滞在であることを確認したうえで、会社・店舗・仕事内容・勤務時間・報酬を整理し、個別許可が出たことと、その許可範囲が実際の配属内容に合っていることを確認してから勤務を開始させる必要があります。
申請中であることや、すでに包括許可があることだけでは就労開始の根拠になりません。

また、包括許可と個別許可を併せて持つ場合でも、就労時間は合算して週28時間以内です。
掛け持ちがある人を採用するときは自社のシフトだけでなく、他社での勤務時間を含めて管理できる仕組みを用意します。

今回の変更は、すべての外国人やすべての風俗営業を対象とするものではありません。
「家族滞在」「遊技場営業店舗」「個別許可」という対象範囲を正確に分けて理解し、採用内定、許可申請、就労開始を一つの時系列で管理することが大切です。

なお、個別許可の可否や必要書類は本人の在留状況、勤務先、活動内容、契約条件などにより異なります。
実際の採用時には出入国在留管理庁の最新案内と、本人に交付された許可内容を確認してください。

参考情報

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執筆・監修:ビッグアロー行政書士事務所