はじめに

雇用している外国人社員から「在留カードをなくしました」と突然報告を受けたら、会社の担当者は戸惑うかもしれません。

「在留カードがない状態で出勤させてよいのか」、「カードを紛失すると、在留資格までなくなるのか」、「会社が再交付申請を代わりに行う必要があるのか」「在留カードのコピーを保管していれば、それだけでよいのか」

在留カードは外国人の在留資格、在留期間、就労制限などを確認する重要な証明書です。
「紛失しただけだから問題ない」と本人の説明だけで済ませることも適切ではありません。

本人は期限内に再交付申請を行う必要があり、会社も申請状況や新しいカードを確認する必要があります。

この記事では、松戸市周辺で外国人を雇用する会社に向けて、在留カードの紛失が分かった直後から再交付後までの対応を順番に整理します。

在留カードの紛失と在留資格の喪失は分けて考える

在留カードを紛失したからといって、その時点で在留資格や就労資格まで当然になくなるわけではありません。

在留カードは、中長期在留者の在留資格や在留期間などを示す証明書です。
カードを紛失した場合は在留資格を新たに取り直すのではなく、「紛失等による在留カードの再交付申請」を行います。

ただし、会社が何も確認しないまま勤務を続けさせてよいという意味ではありません。

たとえば、会社が保管しているコピーの在留期限がすでに過ぎている場合、本人が「更新しています」と説明しているだけでは、現在の在留状況を十分に確認できないことがあります。

最初に、次の事実を分けて確認します。

  • 在留カードをいつ、どこで紛失したのか
  • 盗難の可能性があるのか
  • 会社が保管するカードのコピーはいつ取得したものか
  • コピーに記載された在留期限は過ぎていないか
  • 紛失前から在留期間更新などの申請をしていたか
  • 警察への届出と再交付申請を行ったか

カードの紛失と、在留期限切れや就労範囲の問題を混同しないことが、初動対応の出発点です。

警察へ紛失・盗難を届け出る

在留カードをなくした本人は、まず最寄りの警察署や交番へ紛失届を提出します。
盗まれた可能性がある場合は、盗難として事情を説明します。

出入国在留管理庁が案内する再交付申請では、カードを失ったことを証する資料が必要です。
紛失や盗難の場合は、警察へ届け出たことを確認できる資料や届出受理番号などを準備します。

会社としては、「警察に行ってください」と伝えるだけで終わらせず、次の内容を本人と共有しておくと対応漏れを防げます。

  • 警察へ届け出た日
  • 届け出た警察署・交番
  • 紛失届または盗難届の受理番号
  • 紛失に気付いた日
  • 再交付申請へ行く予定日

カードの中には、氏名、生年月日、顔写真、在留カード番号などが記載されています。
第三者に拾われた可能性も考え、警察への届出を優先的に進めます。

紛失を知った日から14日以内に再交付を申請する

在留カードを紛失、盗難、滅失などによって失った場合は、その事実を知った日から14日以内に再交付申請を行う必要があります。
海外にいる間に紛失を知った場合は、その後初めて日本へ入国した日から14日以内です。

申請先は、本人の住居地を管轄する地方出入国在留管理官署です。

出入国在留管理庁は、主な提出物として次のものを案内しています。

  • 在留カード再交付申請書
  • 規格に合った顔写真
  • 紛失や盗難などを証明する資料
  • 旅券(パスポート)または在留資格証明書
  • 資格外活動許可書を交付されている場合はその許可書

必要書類は本人の年齢や状況などによって異なる可能性があるため、申請前に最新の提出書類一覧を確認します。

松戸市には、東京出入国在留管理局松戸出張所があります。
受付時間や取扱手続は変更される可能性があるため、訪問前に出入国在留管理庁の公式ページで確認してください。

再交付まで勤務を続けられるかは何を確認して判断するか

会社が最も気になるのは、「新しいカードを受け取るまで出勤させてよいのか」という点でしょう。

在留カードを紛失したことだけを理由に、在留資格や雇用契約が自動的に終了するわけではありません。
そのため、カードをなくしたという理由だけで、直ちに退職扱いや無期限の自宅待機にするという整理は適切とは限りません。

一方、カードが手元にない以上、会社は本人の口頭説明だけで判断せず、これまでに確認していた情報と紛失後の手続状況を確認します。

具体的には次の事項を整理します。

  • 入社時または直近の更新時に確認した在留カードのコピーがあるか
  • コピーに記載された在留資格で現在の仕事が認められているか
  • コピーに記載された在留期限が切れていないか
  • 資格外活動許可が必要な働き方ではないか
  • 在留期間更新や変更申請中ではなかったか
  • 警察への届出と再交付申請が進んでいるか
  • 紛失以外に、退職、転職、仕事内容変更などの事情がないか

会社が確認・記録しておきたい内容

再交付申請は原則として外国人本人が行う手続です。
そのため会社は、本人が期限内に必要な行動を取れるよう説明し、その経過を確認します。

社内記録には、次のような内容を残すとよいでしょう。

  • 本人から紛失の報告を受けた日時
  • 本人が紛失に気付いた日
  • 紛失した場所や状況
  • 警察へ届け出た日と受理番号
  • 再交付申請日または申請予定日
  • 会社が保管している旧カードの情報
  • 現在担当している仕事内容
  • 在留期限と更新申請の有無
  • 新しいカードを確認する予定日

会社が保管しているカードのコピーは紛失後の確認資料にはなりますが、コピーがあるから再交付申請をしなくてよいわけではありません。

会社が外国人雇用状況の届出を行う場面では、厚生労働省は、在留カードまたは旅券などの提示を受けて在留資格等を確認するよう案内しています。

特定技能外国人や技能実習生の場合は、受入れ機関、登録支援機関、監理団体などの関係者とも情報を共有し、支援記録や管理記録に反映します。

新しい在留カードを受け取った後に再確認する


再交付されたら、会社は新しい在留カードの原本を本人に提示してもらい、必要な項目を確認します。

確認したい主な項目は次のとおりです。

  • 氏名と生年月日
  • 在留資格
  • 在留期間の満了日
  • 就労制限の有無
  • 資格外活動許可欄
  • 新しい在留カード番号

在留カードは再交付されると番号が変わり、以前のカード番号は失効します。
社内で在留カード番号を管理している場合は、古い番号のままになっていないか確認します。

出入国在留管理庁は、在留カード等読取アプリケーションと失効情報照会を提供していますので、アプリで読み取った情報と券面を比較し、偽変造の確認に役立てることができます。

紛失したカードが後から見つかった場合

新しい在留カードの再交付を受けた後に、紛失していた旧カードが見つかることがあります。

再交付後の旧カードは、有効なカードとして扱うことはできません。
出入国在留管理庁は、紛失を理由として新しいカードの再交付を受けた後に旧カードを発見した場合、発見した日から14日以内に返納する必要があると案内しています。

会社が本人の机や更衣室などで旧カードを見つけた場合は、社内で保管し続けたり、破棄したりせず、本人へ速やかに返納手続を案内します。

最後に、会社と本人で次の項目を確認します。

  • 警察へ紛失届または盗難届を提出した
  • 紛失に気付いた日を記録した
  • 14日以内に再交付を申請した
  • 会社が旧カードの在留資格と在留期限を確認した
  • 現在の仕事内容が就労範囲内か確認した
  • 新しい在留カードの原本を確認した
  • 新しいカード番号へ社内情報を更新した
  • 旧カードが見つかった場合の返納を確認した

まとめ

外国人社員が在留カードを紛失しても、その事実だけで在留資格や就労資格まで当然になくなるわけではありません。

ただし、本人には警察への届出と、紛失を知った日から14日以内の再交付申請が必要です。
会社も「本人が手続をする問題」と切り離さず、申請が進んでいるか確認した方がよいでしょう。

会社が確認したいポイントは、次の7つです。

  • 紛失に気付いた日
  • 警察への届出状況
  • 再交付申請の予定または実施状況
  • 旧カードに記載された在留資格と在留期限
  • 現在の仕事内容と就労範囲
  • 再交付された新しいカードの記載内容
  • 新旧カード番号の管理と旧カード発見時の返納

再交付までの勤務については、カードをなくしたという理由だけで判断せず、会社が過去に確認した在留情報、在留期限、仕事内容、再交付申請の状況を分けて確認します。

慌てて退職扱いにすることも、何も確認せず勤務を続けさせることも避け、紛失発覚から再交付後までを時系列で記録することが大切です。

参考情報

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執筆・監修:ビッグアロー行政書士事務所