はじめに

「求人を出しても、なかなか応募が来ない」、「特定技能外国人を紹介されたが、会社は何を準備すればよいのだろう」

松戸市で人材の採用に悩む会社のなかには、特定技能外国人の受入れを考え始めた会社もいるのではないでしょうか。

千葉県が公表した2025年6月末時点の資料によると、松戸市の在留外国人数は25,828人です。
県内では千葉市、船橋市に次いで3番目に多く、前年同期から1,860人増えています。
統計からも分かる通り、松戸市はすでに多くの外国人が暮らしている地域だといえます。

ただし、外国人が多い地域だからといって、採用後すぐに働けるわけではありません。
特定技能には、働ける分野、外国人本人の条件、会社の受入れ体制など、あらかじめ確認しなければならない項目がいくつかあります。

この記事では、松戸市の会社が特定技能外国人を初めて受け入れる場合を想定し、検討開始から就労開始までの流れを順番に説明します。

任せたい仕事が特定技能の対象か確認する

最初に確認するのは、採用する外国人ではなく、会社で任せたい仕事です。

特定技能は、どのような仕事でもできる在留資格ではありません。
出入国在留管理庁が定める産業分野と業務区分に当てはまる仕事でなければ、特定技能外国人として雇用することはできません。

たとえば、会社が飲食店を経営しているからといって、店内で行うすべての仕事が自動的に対象になるわけではありません。
主に担当してもらう業務が、制度で認められた仕事内容に当てはまるかを確認する必要があります。
求人票に書いた職種名だけではなく、実際に毎日行う作業まで整理することが大切です。

また、分野によっては会社が満たすべき条件、協議会への加入など、分野独自の条件が設けられています。
ここを確認せずに採用を進めると、後から会社側の条件を満たしていないとして、在留申請が不許可になり得ます。

まずは「どの店舗・施設・現場で」「どのような作業を」「一日のうちどの程度行うのか」を書き出してください。
その内容を制度上の業務区分と照らし合わせることが、受入れ準備の出発点です。

外国人本人が必要な条件を満たしているか確認する

仕事が対象になると分かったら、次に外国人本人の条件を確認します。

1号特定技能では、原則として、働く分野の技能試験と日本語試験への合格が必要です。
ただし、技能実習2号を良好に修了した外国人は、技能実習と特定技能の分野・業務区分の関係などにより、試験が免除されます。

ここで注意したいのは、外国人本人が話していることと申請は別で考えるということです。
例えば面接で「以前日本で働いていた」、「日本語で会話ができる」と話していても、審査上は合格証明書、技能実習の修了状況、現在の在留カードなどが確認されます。

現在日本にいる人を採用する場合は、今の在留資格と在留期限も確認します。
海外にいる人を呼び寄せる場合は、その国の制度に基づく送出し手続が必要になることもあります。

ここでの注意点は外国人が話したことに齟齬がないか、各種証明書で整合性がとれるか判断します。

仕事内容と雇用条件を決め、雇用契約を結ぶ

本人の条件を確認できたら、仕事内容、勤務地、賃金、労働時間などを具体的に決め、雇用契約を結びます。

特定技能外国人には、日本人が同じ仕事をする場合と同等以上の報酬を支払う必要があります。
「外国人だから」「会社が住居を用意するから」という理由だけで、同じ仕事をする日本人より低い賃金にすることはできません。

また、本人が理解できる言語や方法で、雇用条件を説明することも重要です。
日本語の雇用契約書に署名をもらうだけでは、本人が仕事の内容や控除される費用を正しく理解しているとは限りません。

特に、基本給と手当、残業の有無、休日、勤務場所、寮費や光熱費などは、採用前に認識をそろえておきたい項目です。
説明が不十分なまま入社すると、「聞いていた給料と違う」「想定していた仕事ではない」という問題につながります。

会社と本人の認識をそろえることは、採用後に長く働いてもらうための準備でもあります。

特定技能外国人を支援する体制を決める

1号特定技能外国人を受け入れる会社には、仕事だけでなく、日本での生活を支える役割があります。

必要になる支援には、来日前の説明、空港などへの送迎、住居や銀行口座の手続、生活に関する説明、日本語学習の機会に関する情報提供、相談への対応、定期的な面談などがあります。
会社はこれらの支援計画を作成し、その計画に沿って支援を行います。

また、会社に豊富な人員や経験があり、自社で適切に支援できる場合は、自社支援を選ぶことができます。
一方、自社だけでは支援体制を整えられない場合には、登録支援機関へ支援の全部を委託する方法があります。

ただし、登録支援機関に委託すれば、会社は何もしなくてよいわけではありません。
日々の仕事の指導、労働時間の管理、職場内の相談対応、安全への配慮など、雇用主としての義務は会社に残ります。

松戸市内で生活する予定であれば、住居から勤務先までの移動方法も早めに考えておきましょう。
電車通勤の場合、路線によっては乗り換えが多く発生したり、満員電車で想定以上にストレスが溜まることも考えられます。

在留資格に関する申請を行う

雇用契約と支援体制を整えたら、地方出入国在留管理局へ在留資格に関する申請を行います。

海外にいる外国人を新しく日本へ呼ぶ場合は、在留資格認定証明書交付申請を行います。
既に日本にいて、別の在留資格から特定技能へ変更する場合は、在留資格変更許可申請が必要になります。

申請では、外国人本人に関する書類だけでなく、会社の概要、雇用条件、対象業務、支援計画などを示す書類も必要です。

出入国在留管理庁の案内では、海外から呼び寄せる場合の在留資格認定証明書の交付に、1か月から3か月程度要するとあります。
ただし、状況によっては追加資料を求められる場合もあり、申請後すぐに働き始められるとは限りません。

求人、面接、契約、支援準備、申請、入国または在留資格変更までを逆算し、余裕のある予定を組みましょう。

許可後に入社と生活の準備を進める


入管から許可を得た後は、実際に働き始めるための準備を進めます。

海外から来日する1号特定技能外国人については、支援計画に沿って出迎えや住居の準備を行います。
来日後には、市区町村での住所に関する手続、銀行口座や携帯電話、生活上のルールなど、仕事以外にも多くの案内が必要です。

会社では、初出勤日にいきなり現場へ入ってもらうのではなく、仕事内容、安全上の注意、社内規則、相談相手を分かりやすく説明しましょう。
説明する側が話しただけではなく、本人が理解できたかを確かめることが大切です。

日本人社員にも、特定技能外国人が担当する仕事や社内の相談体制を伝えておくと、現場での行き違いを減らせます。
外国人本人だけに準備を求めるのではなく、受け入れる職場側も準備することで、働き始めた後の不安を軽減できます。

就労開始後も届出と支援を続ける

特定技能外国人の受入れは、入社したら終わりではありません。

会社には特定技能に関する届出を継続して行う義務があり、雇用契約の変更や終了、支援計画の変更、受入れを続けることが難しくなった場合などには、状況に応じた届出が必要になります。

社会保険や労働保険についても、「外国人だから加入しなくてよい」という扱いにはならず、適用条件を満たす場合は、日本人従業員と同じように手続を行います。

相談対応や面談などの支援も継続する必要があります。
入社直後には問題がなくても、仕事の指示が分からない、生活費の負担が想定より大きい、人間関係に悩んでいるといった問題が後から出てくることがあります。

定期的に話を聞き、小さな問題のうちに解決することが、離職やトラブルの予防につながります。

よくある質問

特定技能外国人は、採用を決めた日から働けますか?

基本的に採用を決めた日に働くことは難しいでしょう。
なぜなら候補者が現在持っている在留資格や、予定している仕事の内容によっては、特定技能への変更許可などを得てから就労を開始する必要があるからです。

登録支援機関への委託は必須ですか?

すべての会社に必須というわけではありません。
会社自身が法令上求められる支援体制を整え、支援計画を適切に実施できる場合は自社で支援する方法もあります。
自社支援が可能かどうかは担当者を置けるかだけでなく、支援責任者・支援担当者の要件や過去の受入れ経験なども含めて確認する必要があります。

手続にはどのくらいの期間がかかりますか?

外国人が国内にいるか海外にいるか、現在の在留資格、分野、会社と本人の書類がそろっているかによって変わります。
海外から呼び寄せる場合については、出入国在留管理庁が在留資格認定証明書の交付に1か月から3か月程度という目安を案内していますが、採用準備や各国での手続にかかる期間は別に考える必要があります。

まとめ

松戸市で特定技能外国人を初めて受け入れるときは、以下を参考に準備を進めましょう。

  1. 実際に任せる仕事が対象分野・業務区分に当てはまるか確認する
  2. 本人の試験合格や技能実習修了歴、現在の在留資格を確認する
  3. 本人が理解できる方法で雇用条件を説明し、契約を結ぶ
  4. 自社支援か登録支援機関への委託かを決める
  5. 必要な在留資格申請を行い、許可後に就労を開始する
  6. 入社後も届出と支援を続ける

特定技能の手続は、会社の業種や候補者の状況によって必要な準備が変わります。
「この人を採用できるのか不安」、「何から確認すればよいか分からない」という方は、早めに専門家に相談することをお勧めします。

この記事に関連するページ

参考情報

執筆・監修:ビッグアロー行政書士事務所代表