はじめに

「人手が足りないため、外国人の採用を考えている」、「応募してきた外国人を、そのまま採用しても問題ないのだろうか」
葛飾区で事業を営む方の中にも、このような疑問を持っている方がいるのではないでしょうか。

東京都が公表している住民基本台帳の統計によると、2026年1月1日時点で、葛飾区には32,541人の外国人住民が暮らしています。

外国人住民の増加に伴い、葛飾区では外国人生活相談や日本語教室、入国・在留・帰化・就労に関する相談なども行われています。
区が実施する日本語教室には、葛飾区に住んでいる人だけでなく、葛飾区内の会社で働いている外国人も参加でき、2026年度は、金町・新小岩・立石などで教室が開かれています。

このように、葛飾区を生活の拠点とし、働く外国人は少なくありません。
区内の会社にとっても、外国人雇用は身近な選択肢になりつつあります。

ただし、外国人本人が日本に住んでいるからといって、すべての仕事ができるわけではありません。
外国人を雇用するときは、日本人を雇用するときの手続に加えて、在留資格、在留期間、就労できる仕事内容などの確認が必要です。

この記事では、葛飾区で外国人を初めて雇用する会社に向けて、採用前に確認したい7つの項目を分かりやすく解説します。

担当してもらう仕事内容を明確にする

最初に整理したいのは、採用後に担当してもらう仕事内容です。
「現場の仕事」「事務全般」「通訳もお願いする」といった説明だけでは、実際の業務内容が分かりません。

次のように、日々の仕事を具体化します。

  • どこで働くのか
  • 毎日どのような仕事をするのか
  • 接客や電話対応をするのか
  • 荷物の運搬や清掃を担当するのか
  • 通訳や翻訳を行うのか
  • 他の店舗や現場へ移動することがあるのか
  • 将来、担当する仕事が変わる予定はあるか

外国人は、持っている在留資格によって、就労できる範囲が異なります。
仕事内容が曖昧なままでは、その外国人が予定している仕事に就けるか判断することも難しくなります。

「外国人だから何を任せるか考える」のではなく、まず会社が必要としている仕事を整理しましょう。

在留カードの内容を確認する

日本に中長期間滞在している外国人を採用するときは、本人から在留カードを提示してもらい、記載内容を確認します。

主な確認項目は次のとおりです。

  • 氏名
  • 在留資格
  • 在留期間の満了日
  • 就労制限の有無
  • 資格外活動許可の有無
  • 在留カードが有効か

留学生などがアルバイトとして採用する場合は、在留カードの裏面にある「資格外活動許可」の記載も確認します。

外国人本人が「働けます」と説明していても、その言葉だけで判断することは危険です。
本人が在留資格のルールを正確に理解しているとは限らないからです。


厚生労働省は、在留カードを確認する際に、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」を活用するよう案内しています。
アプリで読み取ったICチップの情報と、カードの情報を見比べることで、カードが偽造または変造されていないか確認できます。

それでも判断に迷った場合は、採用を確定する前に専門家や関係機関へ確認しましょう。

在留資格と仕事内容が合っているか確認する

在留カードを確認したら、その外国人の在留資格で会社が予定している仕事を担当できるか確認します。

ここでのポイントは実際に行う業務から在留資格が適正か逆算して考えることが重要です。

例えば「技術・人文知識・国際業務」の場合、外国人本人の学歴や職歴が会社で担当する仕事と関連性があるか厳しく審査されます。
「特定技能」の在留資格でも、入管で許可を受けた範囲の業務のみ従事することが可能です。
社内移動であっても、担当する仕事内容が変われば、現在の在留資格で引き続き働けるか、改めて確認が必要になります。

外国人支援の仕事に携わった経験から

私は、監理団体兼登録支援機関で、外国人支援に関する書類作成や申請業務に携わった経験があります。

外国人支援の現場では、会社が想定している仕事内容と、外国人が理解している仕事内容が一致していない場合が多々あります。

雇用契約書に仕事内容を明確に記載することはもちろん、母国語での説明により互いの認識を一致させることが大切です。

なお、特定の外国人が予定する仕事に就けるかは、本人の在留資格、学歴、職歴、実際の仕事内容などによって異なります。

判断に迷った際は専門家に相談することをおすすめします。

在留資格の変更が必要か確認する

採用する外国人の在留資格によっては、入社前に在留資格変更許可申請が必要になることがあります。

例えば、留学生が卒業後に会社員として働く場合は、「留学」から就職後の仕事内容に合った在留資格への変更が必要になります。

既に就労できる在留資格を持っている人でも、新しい会社で担当する仕事が現在の在留資格に適合しているか確認が必要です。

採用前にチェックする項目は以下の通りです。

  • 現在の在留資格
  • 在留期間の満了日
  • これまで担当していた仕事
  • 採用後に担当する仕事
  • 本人の学歴や職歴
  • 雇用契約の開始予定日
  • 在留資格変更の必要性

入管手続に必要な書類は、在留資格、仕事内容、本人の経歴、会社の状況(カテゴリー)によって変わります。
また、昨今の外国人の増加により、都市部の入管の審査が長期化しています。

許可が下りなければ当然仕事をすることはできませんので、手続きの期間を見越した採用計画が重要になります。

雇用条件を本人が分かる方法で説明する

外国人を雇用する場合も、労働基準法などの労働関係法令が適用されます。

採用前には、少なくとも次の内容を整理します。

  • 契約期間
  • 働く場所
  • 仕事内容
  • 勤務時間
  • 休憩時間
  • 休日
  • 給料と計算方法
  • 賞与の有無
  • 残業の有無
  • 給料から差し引かれるもの
  • 退職に関する条件

雇用条件書を渡すだけではなく、外国人本人が内容を理解しているか確認することも重要です。

例えば、「税金を控除します」と伝えるだけでは、どんな税金が給料から引かれるのか分からないでしょう。
「年金や社会保険料などが、毎月の給料から引かれます」、「この税金はあなたが〇〇で困ったときに保障を受けるために支払っています」と、具体的な言葉で説明したほうが伝わりやすくなります。

厚生労働省は外国人労働者向けに多言語の労働条件通知書を公開していますので、必要に応じて活用しましょう。

※労働条件、社会保険、雇用保険などの具体的な判断については、労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所または社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。

雇用後に必要な届出を確認する


外国人を雇用した事業主は、原則として「外国人雇用状況の届出」が必要です。(外国人が離職したときにも届出が必要です。)

雇用保険の被保険者になる外国人については、原則として雇用保険の資格取得手続とあわせて届出ます。

雇用保険の被保険者にならない外国人についても、所定の方法で届出る必要があります。

具体的な届出方法は、公式ホームページなどを確認し、個々人の状況に応じて判断しましょう。

採用後に慌てないように、次の点を確認しましょう。

  • 誰が届出を担当するか
  • いつまでに手続をするか
  • どんな書類が必要か
  • 在留カードの情報をどのように管理するか
  • 退職時にどんな届出が必要か

※社会保険、雇用保険、税金などについては、行政書士が取り扱えない手続も含まれます。必要に応じて、社会保険労務士や税理士などへ相談してください。

入社後の受入れ体制を決める

外国人雇用は、在留資格の手続が終われば完了するわけではありません。

入社後、誰が外国人を支援するのか、採用前に決めておく必要があります。

例えば、次の項目を整理します。

  • 仕事を教える担当者
  • 困ったときの相談相手
  • 社内規則の整備(多言語化)が必要か
  • 災害や事故が起きたときの連絡方法
  • 住居や住所変更に関する案内
  • 在留カードの手続き担当者
  • 契約内容や仕事が変わる場合の案内方法

また、外国人の受入れは一人の担当者に任せるのではなく、会社全体でサポートする体制が重要です。

特に「特定技能1号」の場合、登録支援機関へ支援を委託した場合でも、受入れ企業としての対応がすべてなくなるわけではありません。

まとめ

外国人を雇用するときは、本人の人柄や日本語能力だけでなく、業務の実態が在留資格に適合しているかを確認する必要があります。

また、外国人本人と会社の状況によって、必要な在留手続や書類は異なります。

「採用したい外国人がいるが、現在の在留資格で働けるか分からない」、「入社までに、会社が何を準備すればよいか整理したい」

少しでも気になることがあればぜひお近くの専門家に相談することをお勧めします。

ビッグアロー行政書士事務所では、監理団体兼登録支援機関で外国人支援に携わった経験を生かし、外国人雇用に伴う在留手続についてご相談をお受けします。

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執筆・監修:ビッグアロー行政書士事務所